HSPの方によくある悩みと対処のワンポイントアドバイス
HSPの方が親に抱きやすい気持ちからくる悩みについて、いくつかのアドバイスをさせていただきます。
HSPの方のなかには、幼い頃の両親の言動に影響され続けている。
幼い頃に貼られたレッテルが今でも忘れられなく今の自分に影響を及ぼしている。
このように感じ、親との関係性に問題を抱える方が多くいます。
親にこのように言われたことはありませんか?
・あなたは引っ込み思案だから損するわよ
・まったく神経質で困ったわね
・そんなに臆病でどうするんだ
・人見知りを直さないと友達できないわよ
・男の子なんだからそんなに大人しかったらやっていけないぞ
友達や親戚、近所の集まりなどの場で親からこのようなレッテルを貼られ、嫌な思いをしたことはありませんか?
・この子はほんとに気が小さくてね~
・うちの子は何を考えているのかわからないのよね
・内気だからなかなか友達ができなくてね~
・気にしすぎでちょっと心配なところがあるのよ
・ほら、あなたもみんなみたいに元気に遊びなさい!
HSPの特性をネガティブに捉え表現されたこのような言葉で、繊細なHSPは幼いころから心を痛めてきました。また、人前でネガティブなレッテルを貼られる、という経験は忘れることのできないつらいものであったに違いありません。
人には、貼られたレッテルの通りに行動してしまうという効果があり、心理学ではそれを「レッテル効果(ラベリング効果)」と呼びます。
例えば、臆病者のレッテルを貼られた子どもは、「どうせ僕は臆病なやつだ。ずっと臆病にしていればいいんだ」と自己暗示をかけてしまいます。
特に繊細なHSPは、良いことも悪いことも敏感に察知し、それらすべてに何らかの反応をします。
幼少期であれば、良い環境で育てば良い影響を受けますし、反対に好ましくない環境で育てばネガティブな影響を強く受けてしまうということになります。
つまり、「HSPだから生きづらい」というよりも、幼少期の経験や家庭環境がHSPの特性を生きづらさの特性へと導いてしまったと言えるのかもしれません。
今回は、そのようなネガティブな影響を受けたことでつらい気持ちを抱える方へのアドバイスです。
【子どものときの感情を振り返り、受け入れましょう】
あなたは今、親に対して怒りがあるかもしれませんし、失望しているかもしれません。
しかしその奥底に、悲しみが宿ってはいませんか?
ありのままの自分を認めてもらえない悲しみ、人前で恥をかいた悲しみ、素のままでは愛されない悲しみ…。もし子どもの頃の悲しみに気付いたなら、大きくなったあなたがその悲しみを癒してあげましょう。
「つらかったね」「恥ずかしかったよね」「悲しかったね」「頑張ったね」など労りの言葉で小さいあなたの心をいっぱいにしてあげるのです。
柔らかくて肌触りの良いクッションを小さい自分に見立て、ぎゅっと抱きしめてあげるのも良いかもしれません。
自分のなかの小さい自分を自分で育て直す、この体験はきっとあなたに変化をもたらすでしょう。
【親の非を受け入れましょう】
HSPは人の気持ちが痛いほどわかるため、人を嫌ったり避けたりすることが苦手な傾向にあります。
自分につらい思いをさせた親でさえも嫌いにはなれないHSPは、憎むことを回避するために自分に非があると思い込もうとするかもしれません。
しかし、それは現実から目を背けていることにほかなりません。
そのような場合は次のように考えてみてはいかがでしょう。
「母は私をいつも心配してくれていた、でもあのように言われるときはいつも憎らしかった」
「父のことは好きだったけれど、私のことをきちんと理解してくれなかったこところは好きじゃなかった」
声に出して言ってみる、紙に書き出してみる。そのようにして事実をありのままに親の非を受け入れることにより自分に非がないことを実感することができるでしょう。
【親もまた完璧でないことを理解しましょう】
親は子どもを心配し、子どもに期待をするものです。しかし、その表現の仕方によっては子どもの心に深く傷を負わせてしまうことがあることを知らない親が多くいるのが現実です。
また、HSPの特性について理解しようにもできなかった親もいたことでしょう。HSPについての情報を誰もが簡単に得られるようになってからまだ間もないのです。
親もまた完璧でなく、未完成な人間であることを理解しましょう。
【貼られたレッテルを検証してみましょう】
幼い頃に言われたネガティブな言葉やレッテルが蘇ってくるときには、それらをポジティブな言葉に変換してみましょう。好きになれなかったネガティブな特性が、裏を返せば全く違うものになり得ることがわかるでしょう。
下に一例をあげます。
・引っ込み思案 → 謙虚
・神経質 → 感受性が豊か
・臆病 → 危機管理能力がある
・人見知り → 慎重
・大人しい → 落ち着きがある
また、日頃から物事を肯定的に捉え、ポジティブな言葉で接してくれる人と積極的に関わってみるのも良いかもしれません。別の視点から自分を捉えることができるようになっていくでしょう。
さらに、「認知行動療法」によるカウンセリングを受けることにより、レッテルや刷り込まれたネガティブな言葉の影響による偏った考え方や行動パターンを柔軟に変容させていくことが可能になります。
【親と適度な距離を保ちましょう】
HSPは他者と適度な距離を保つ必要があります。可能であれば、一人になる時間が確保できる一人暮らしを検討するのも良いのかもしれません。
先ほども述べましたが、親は心配もするし期待もします。しかし、影響力が大きい親からの助言は、HSPには受け入れがたく重いものであることが多いものです。助言が欲しいときにはこちらから求めにいく、そんな距離感が好ましいでしょう。
また、親にもHSPについて知ってもらうことで関係がうまくゆく場合もあります。あなたがHSPであれば、親のどちらかがHSPであると考えられます。HSPについて共に理解を深めることで、不要な衝突を避けることができるようになるかもしれません。
【まとめ】
HSP気質を持っていることで生じたネガティブな体験やHSPの特性を好ましく思わない家庭環境など、幼少期のこれらの体験はその後の人生に大きく影響するものです。
しかし、HSP=生きづらい、と考えてしまうのは少し残念なように思います。
なぜなら、HSPであっても自然体でのびのびと、その特性を存分に活かして生きている人もいるからです。
今からでも遅くはありません。
小さなあなたを大事に育て直し、より良く生きるために不都合なレッテルは手放してゆきましょう。
そして、HSPの特性を活かしたあなたらしい生き方を一緒に取り戻していきましょう。