幼い頃、両親(または身近な大人)から、次のような扱いを受けていませんでしたか?

・「育てにくい」「神経質」「手がかかる」などと言われた

・「面倒な子ども」として扱われた

・「考えすぎだ」と取り合ってもらえないことがあった

・怪訝な顔で迷惑そうにされることが多くあった

・社交的で物怖じしない兄弟姉妹や友人と比較された

・本来の自分とは違う自分でいることを求められた

・親の価値観に適応するよう育てられた


そして大人になった今、この様な自分にお悩みではありませんか?

1. 無意識に周りの空気を読んでしまい自分らしくいられない

2. いつも相手の反応に合わせた会話をしている

3. 他者に迷惑をかけると、異常な罪悪感に苛まれる

4. 他者の気分を害さないように常に気を配っている

5. 他者に依頼するのは苦手だが、他者からの依頼はめったに断らない、断れない

6. 常に他人の期待に応えようと努力している

7. 褒められても素直に受けとることができない

8. 幼いころ親に貼られたレッテルが今でも忘れられない
(最後の8.のことは、「親に対する気持ち」の記事で詳しくお話しています)

HSPは、優れたセンサーにより小さなことに気づきやすく、相手の眉間に一瞬よったしわや、ひきつった頬を見逃しません。もしかしたら、幼い頃、ご両親や大好きな幼稚園の先生がふと見せたこのような表情に知らずしらずのうちに傷ついているかもしれませんし、子を思っての親の言葉や態度が、あなたがその特性を活かして自分らしく生きることを難しくしたのかもしれません。
生まれ持った繊細さ共感性の高さと、(繊細で敏感であること、時に内向的であることを受け入れてもらえない)ネガティブな対応や環境が合わさることで、素の自分や本心を出すことに罪悪感や恐怖心、羞恥心を覚えたまま成長し、大人になった今、ようやく自分の生きづらさと向き合いはじめたという方も多いのではないでしょうか。

対処ワンポイントアドバイス

「無意識に周りの空気を読んでしまい自分らしくいられない」
「いつも相手の反応に合わせた会話をしている」
これらは、自分の言動や振る舞いに対しての相手の反応や評価に意識が向けられている状態です。共感性に長けているHSPは、相手の表情や声色、ちょっとした仕草からその気持ちを汲み取ってしまい、自分の意見を言えなくなってしまうのです。
このような自分に気づいたら、意識を自分の内面(気持ちや考え)に向けるよう努めてみましょう。
しかし、長年にわたり自分の気持ちに蓋をし、他者に合わせて生きてきた方のなかには、自分の気持ちや本心がわからないという方も多くいます。そのような方は、見失ってしまった自分の気持ちに気づく練習からはじめてみましょう。
リラックスした状態で「あの時本当はどう思っていたのだろうか…」「どのように感じていたのだろうか…」「どうしたかったのだろうか…」とその場面に身を置くようにして考えてみましょう。これを続けることにより、自分の気持ちに気づきやすくなっていくことを実感できるかもしれません。
浮かんできた気持ちはノートに書き留めてもよいでしょう。たくさんのあなたが記されたそのノートは、いつかあなたの宝物になるはずです。

「他者に迷惑をかけると、異常な罪悪感に苛まれる」
「他者の気分を害さないように常に気を配っている」
「他者に依頼するのは苦手だが、他者からの依頼はめったに断らない、断れない」

このような傾向が強く、常に自分よりも他者を優先してしまうと感じる方は、安らぎと良質な休息を必要としているはずです。
幼い頃、親の機嫌や家庭内の雰囲気を敏感に察知し、家族の平穏のための調整役になってはいませんでしたか?敏感で繊細なHSPは、相手の立場になる、相手を気遣う、相手の本音を察知する、などを無意識のうちにしているものです。自分が楽しいかより、相手が楽しいか。みんなが嬉しければ自分も嬉しい。自分の気持ちに寄り添う暇などありません。ですから、たとえ短い時間であっても自分のためだけに使う時間を確保する必要があるのです。
とは言え、殻に閉じこもり布団の中で過ごしてばかりいることはお勧めしません。HSPが元気を回復するために必要なのは、自分に合ったささやかな楽しみと小さな成功体験の積み重ねであることを忘れないでほしいのです。

「常に他人の期待に応えようと努力している」
「褒められても素直に受けとることができない」
ありのままでいること、自分らしく振る舞うことを許されず、心に傷を負っている方に多くみられます。「もっと頑張れば認めてもらえる」「もっと優しくすれば愛してもらえる」そのように考える自分はいませんか?ネガティブな評価や反応をさらりとかわせず、何とかその凹みを埋めようと自分に課す基準をどんどん高くしてしまう。そのような悪循環に陥っている方もいるのではないでしょうか。
報われないと感じる自分に疲れたら、感情にまかせて思いきり泣く日があってもよいのです。そして、過剰な努力をやめてありのままの自分をさらけ出す一歩を踏み出してみる勇気を出しましょう。
どんなに頑張っても世界中の人に好かれることは不可能であり、自分のことをよく思わない人は必ずや現れます。肩の力を抜いた、完璧ではない自分を見せたときにこそ、本当の友人、真の理解者が誰なのかに気づくチャンスでもあります。
時には断ってみる、時にはさぼってみる、そんな小さな一歩の積み重ねが自信となり、やがて大きな変化をもたらすことがあるものです。焦らず、身の回りの小さなことから、頑張りすぎない自分をスタートしてみましょう。

~幼少期のあなた自身は最善を尽くしてきました~
ありのままの自分でいることが難しい幼少期を経験した人は、環境に適応するために自分の気持ちに蓋をし、相手の反応に合わせた言動をするようになることがあります。特に、他者の心の動きに敏感なHSPはこの傾向が強くなりがちです。

気持ちと行動が一致しない、その場その場の状況に合わせた一貫性のない言動を続けてきたことにより、ついには自分が何者なのかさえわからない、そんな感覚を覚える方もいるのです。これでは自分の人生を生きていることにはなりません。

「認知行動療法」は、「自分の気持ちを正直に言ったらどんなことになりそうと考えるか」「完璧でない自分を見せたら何が起きると考えるか」「どんな自分なら認めてもらえると考えるのか」など様々な角度からの検証を通して自分を理解することからはじめます。今まで気づかなかったネガティブな考え方のくせや陥りやすい行動パターンに気づく方もいることでしょう。蓋をしてきた自分の本心に気づき、本当の自分を取り戻すためにこれからはどのように考え、行動していくのが望ましいのかをカウンセラーと共に検証し、実践してまいります。

また、いくつかの質問に答えることにより自分の性格特性や行動パターンを知ることができる「エゴグラム」分析(交流分析理論)をカウンセリングで行うことができます。幼少期に親や身近な大人から取り入れた考え方やそれに対しての自分の振る舞いに気づくことで、自分をより深く理解することができるでしょう。

そして今となっては不自由で手放すべき考え方はないだろうか?と考えることが、自分の人生を生き直すきっかけとなることでしょう。

子どものことを微塵も愛していない親はいません。しかし、愛し方、接し方、声の掛け方によって子どもの心に深い傷を負わせてしまうことがあることに気づけない親がいるのも現実です。

心の傷が痛むときには、同じように心に傷をうけた経験のある人と交流するのもよいでしょう。自分だけの苦しみではないことを知るだけでも心が軽くなるのを感じるかもしれません。

また、自分に合ったささやかな楽しみと自分を労わる休息の時間、そして自分の心に耳を傾ける時間をつくりましょう。その時間は、繊細で敏感なあなたになにより必要な時間なのです。