HSPな親が小さなお子さんとの関わりで悩みがちなことと、その対処についてワンポイントアドバイス。

子育てについて、このようなお悩みはありませんか?

1. 泣いている子どもをみると自分までつらくなってしまう

2. 大きな声で騒ぎ、癇癪を起こす子どもをつい怒鳴ってしまう、手が出てしまう

3. 自分の育児に自信がない

4. 自分の時間が持てない

繊細で敏感なHSPのあなたは、子どものどんな小さな変化にもよく気がつくでしょう。
強い共感力により子どもの心が読み取れる、子どもの気持ちが必要以上にわかってしまうと感じているかもしれません。

そのような能力を持つHSPは、実は育児に向いている、と言えるでしょう。育児には苦労もありますが、無償の愛のやりとりを通して子どもの成長を助け、子どもと共に過ごす時間は、生きがいを大切にするHSPにとってかけがえのない喜びの時間となることでしょう。

しかし、HSPがこのような能力を存分に発揮し、快適な毎日を送るためには大切ないくつかのポイントがあります。

対処ワンポイントアドバイス

「泣いている子どもをみると自分までつらくなってしまう」
このように感じるのは、HSPの大きな特徴である共感性や同調性が高いためでしょう。
他者との境界線が薄いHSPは、他者の悲しみも喜びも自分のことのように感じ、その感情に引きずられることがあります。お子さんが友達とケンカをして泣いている時、あなたの胸はお子さん以上に痛んでいるかもしれません。

まずは何度かゆっくりと深呼吸をしてみましょう。少しだけ気持ちが落ち着き、冷静に状況をみることができるようになるでしょう。次に、お子さんの気持ちに寄り添い共感しながらも、心の境界線を引くイメージをしてみます。悲しいのはあなたではなくお子さんであることに気づくでしょう。そして悲しみも子どもの成長に大切な感情であり、ケンカもまた大切な経験であることを思い出してほしいのです。

「大きな声で騒ぎ、癇癪を起こす子どもをつい怒鳴ってしまう、手が出てしまう」
このように、予期せぬ強い刺激を受けることで神経が昂り、抑えられない衝動を感じたら、ひとまず可能な範囲で刺激と距離をとる工夫をしましょう。

刺激の80%近くは視覚から入ると言われています。子どもの存在は感じながらも視界に入らない場所で数分間過ごすのもよいでしょう。子どもの癇癪は、無理に抑え込もうとするより放っておく、優しく抱きしめる、背中をさする、などのほうが落ち着きを取り戻すのに有効だとも言われています。

次に、落ち着いたタイミングを見計らって、子どもに寄り添い話を聞いてあげましょう。あなたの愛情は間違いなくお子さんに伝わるはずです。そしてHSPのあなたは、十分な休息により刺激で疲れた自分を回復させることを決して忘れないでください。

「自分の育児に自信がない」
子育てがうまくいっていないと常に感じており、度々カッとなり感情をコントロールできない、または落ち込むとなかなか回復できない。そのように感じるならば、あなたには助けや支援が必要かもしれません。

パートナーに理解を求めるのはもちろんのこと、地域のサポートシステム等に登録し、いざという時にすぐに頼れるように準備をしておきましょう。他者の手を煩わせたくないと考えがちなHSPは、有料でサービスを受けることを望むかもしれません。

いずれにしても、HSPのあなたにはこまめな休憩と安らぎが必要です。好きな音楽を聴く、お気に入りの香りを嗅ぐ、ゆっくりお風呂に入る、瞑想をする、ストレッチをする、泣いてみる、日記を書く、散歩に出掛けるなど、簡単にできる休憩の仕方をリストアップしておきましょう。HSPが自分の休息のために人の助けを借りることは決して贅沢なことではなく必要なことなのです。

そして日頃から自分をよく観察し、消耗具合に早めに気づくようにしましょう。すっかり疲弊してしまってからでは回復にも時間がかかります。
心身の消耗がひどくなると、このつらい状況には終わりがないと感じることもあるでしょう。しかしそんなことは決してありません。過ぎてみれば、大変な時期はそれほど長くないのかもしれません。

「自分の時間が持てない」
これは、多くのHSPな親が抱えるお悩みです。

子どもが小さければ小さいほど、適切なサポートを得られない母親は、一日のほとんどを子どもと二人で過ごします。子供の成長に幸せを感じる一方、過度な刺激や予期せぬハプニングに圧倒されることもしばしばでしょう。

一人になり自分を取り戻す大切な時間がもてないことは、HSPにとって大きな問題です。お子さんが昼寝をはじめたら、その間に家事を済まそうと考えるのではなく、その時間はあなたの休息の時間にあてましょう。洗濯物が少したまることやあり合わせで簡単に済ませる食事に罪悪感を覚えることはありません。
あなたがよい状態で子どもと向き合うためには、十分な休息と安らぎを得られている必要があるのです。

~お子さまにとってもイキイキと~
どうしようもない辛さを抱える前に、カウンセリングを利用することをお勧めします。心の内をただ話すだけでも気が晴れることもあるでしょう。
カウンセリングの場で多くのHSPな親はこのように話します。
「この辛い生活が永遠に続くように感じる」
「ほかの人と同じようにできない自分は親として失格だと思う」
「育児を理由に他のことを疎かにするべきではないと思っている」
果たしてこれらは事実でしょうか?上述したように、どの親にも育児の終わりは必ずきますし、ほかの人の子育てが正しいといったい誰が決めたのでしょう。子育てに正解はありません。あなたは十分頑張っているのではありませんか?

このように、あなたの中の思いこみや極端な考えをカウンセラーと二人三脚であぶり出し、一つ一つ丁寧に検証していく療法が「認知行動療法」です。あぁ、そうか。よく考えてみたらそうだよね。そのような気づきの繰り返しにより肩の荷がおりる感覚を得られることでしょう。

責任感が人一倍強く、他者の手を借りることをためらいがちなHSPは、子育てのすべてを一人で抱え込む傾向があります。私はどうして上手にできないのだろう、と自分を責めてしまう日もあることでしょう。

そんな時は、完璧な親、誰から見ても良い親を目指すのではなく、目の前のお子さんのためにどんな親であることが望ましいかを考えましょう。

どうか、家事の手を抜いて休息の時間を確保することをためらわないでください。

乳幼児期のお子さんが、あなたの笑顔と豊かな愛情以上に必要としているものはないのですから。